打率はチームで一番なのに、OPSでは2位。そんなとき「OPSって結局何を表しているの?」と思ったことはないでしょうか。
OPSはプロ野球の中継や記事でもよく見るようになった数字ですが、打率と違って直感的に読みにくいところがあります。
この記事では、OPSの計算方法と、草野球で数字を見るときの注意点を整理します。
OPSは「出塁率」と「長打率」の足し算
OPS は On-base Plus Slugging の略で、名前のとおり2つの率を足したものです。
OPS = 出塁率 + 長打率
それぞれの計算式は次のとおりです(公認野球規則 9.21 の定義)。
出塁率 =(安打 + 四球 + 死球)÷(打数 + 四球 + 死球 + 犠飛)
長打率 = 塁打 ÷ 打数
塁打は、単打を1、二塁打を2、三塁打を3、本塁打を4として合計した数です。
具体例で計算してみる
ある選手のシーズン成績がこうだったとします。
| 項目 | 数 |
|---|---|
| 打数 | 20 |
| 安打 | 7(単打4・二塁打2・本塁打1) |
| 四球 | 3 |
| 死球 | 1 |
| 犠飛 | 0 |
出塁率
(7 + 3 + 1)÷(20 + 3 + 1)= 11 ÷ 24 = .458
長打率
塁打は 単打4×1 + 二塁打2×2 + 本塁打1×4 = 12
12 ÷ 20 = .600
OPS
.458 + .600 = 1.058
ちなみにこの選手の打率は 7 ÷ 20 = .350 です。打率だけを見ると「.350の打者」ですが、OPSには四球4つ(死球含む)と長打3本の分が上乗せされています。
なお、出塁率と長打率を小数第3位で丸めてから足すと、まれに最後の桁が1つずれることがあります。正確に出すなら、丸める前の値どうしを足してから丸めます。
OPSで分かること
打率は「ヒットを打った割合」しか表しません。そのため、次のような違いが打率には出てきません。
- 四球をたくさん選んで塁に出ている
- 同じヒットでも、単打ではなく長打が多い
OPSは出塁率で前者を、長打率で後者を拾います。「塁に出る力」と「走者を返す力」をまとめて見られるのが、OPSが使われるようになった理由です。
例えば、打率が同じ.300の2人でも、
| 打率 | 出塁率 | 長打率 | OPS | |
|---|---|---|---|---|
| Aさん(単打のみ・四球なし) | .300 | .300 | .300 | .600 |
| Bさん(四球も長打も多い) | .300 | .400 | .500 | .900 |
と、OPSでは大きな差がつきます。
OPSでは分からないこと
一方で、OPSには限界もあります。
タイプの違いは消えてしまう。 出塁率.500・長打率.400の選手も、出塁率.300・長打率.600の選手も、OPSは同じ.900です。1番打者向きなのか、4番打者向きなのかはOPSだけでは分かりません。打順を考えるときは、出塁率と長打率を分けて見てください。
走塁や守備は含まれない。 盗塁や守備の貢献はOPSには入っていません。
単純な足し算である。 出塁率と長打率は分母も違う数字で、それを足しているのは「計算が簡単で、得点との関係が分かりやすいから」という実用上の理由です。細かく分析すれば出塁率の方が重要だという見方もありますが、チーム内で打者を比べるには十分に役立ちます。
OPSはどのくらいならすごい?
プロ野球の世界では、OPS .800を超えると好打者、.900を超えると強打者、1.000を超えるとリーグを代表する打者、という感覚で語られることがよくあります。
ただ、草野球にこの目安を当てはめるのは注意が必要です。対戦相手のレベルがばらばらなうえ、次に書くとおり、打数が少ないと数字が大きく動くからです。チーム内で比べる、自分の昨年と比べるという使い方が現実的です。
草野球ではOPSが大きく動きやすい
打数が少ないと、長打率は特に大きく動きます。
先ほどの20打数の選手で、凡退だった1打席が本塁打だったとすると、
- 長打率:12 ÷ 20 = .600 → 16 ÷ 20 = .800
- 出塁率:11 ÷ 24 = .458 → 12 ÷ 24 = .500
- OPS:1.058 → 1.300
本塁打1本でOPSが.242上がります。 年間の打数が数十程度の草野球では、この「1本の重み」がOPSをかなり左右します。
打率でも同じことが起きますが、OPSは長打を4倍の重みで数えるぶん、振れ幅がさらに大きくなります。打率の振れ幅については草野球の打率はどれくらいならすごい?で具体的に計算しています。
犠飛と犠打の扱いに注意
OPSを自分で計算するとき、間違えやすいのが犠飛と犠打です。
- 犠飛:出塁率の分母に入る。長打率(打数)には入らない
- 犠打:出塁率にも長打率にも入らない
つまり犠飛を打つと、打率と長打率は変わらず、出塁率だけが少し下がります。犠飛の扱いは犠牲フライは打数に入る?で詳しく説明しています。
チームで犠飛を記録していない場合は、分母の犠飛を0として計算すればOKです。
表計算で出すなら
ExcelやGoogleスプレッドシートで出塁率・長打率・OPSを自動計算する数式は、草野球の成績をExcel・スプレッドシートで管理する方法でまとめています。塁打の計算式や、0除算を避ける書き方もそちらで紹介しています。
My SuccessでのOPS
My Success では、打席ごとに「単打」「二塁打」「四球」「犠飛」などの結果を選ぶと、出塁率・長打率・OPSが自動で計算されます。計算は上の公式どおりで、出塁率と長打率は丸める前の値で足しています。
各選手の成績画面でOPSを確認できるほか、PROプランではOPS・出塁率・長打率のチーム内ランキングも見られます。
まとめ
- OPS = 出塁率 + 長打率。塁に出る力と長打力をまとめた指標
- 打率では見えない四球と長打の価値が反映される
- 同じOPSでも、出塁型か長打型かは分からない。打順を考えるなら内訳を見る
- 打数の少ない草野球では本塁打1本でOPSが大きく動く。チーム内比較や通算で見る
- 犠飛は出塁率の分母に入り、犠打はどちらにも入らない
打率と並べてOPSを見ると、「数字には出にくいけれど頼りになる選手」が見えてくることがあります。チームの打順を考える材料にも使ってみてください。
参考
- 日本野球機構(NPB)「記録の計算方法」
- 日本野球機構(NPB)「公認野球規則 9.00 記録に関する規則」(PDF)