1アウト三塁で外野フライ。三塁ランナーがタッチアップして1点。ベンチは盛り上がりますが、記録をつける人は「これ、打数に入れる?」と手が止まる場面です。
この記事では、犠牲フライの記録上の扱いを、打率・出塁率・打点に分けて整理します。
犠牲フライは打数に入らない
公認野球規則 9.02(a)(1) は、打数に含めないものとして次を挙げています。
- 犠牲バントおよび犠牲フライ
- 四球
- 死球
- 妨害・走塁妨害で一塁を得た場合
犠飛は打数に入らないので、打率には影響しません。アウトになってはいますが、チームに1点をもたらした打撃として、打率の上では「なかったこと」にしてもらえる、というわけです。
打席数としては1つ数えます。
打率・出塁率・長打率への影響
10打数3安打(安打はすべて単打・四死球なし)の選手が、次の打席で何をしたかで比べてみます。
| 次の打席 | 打数 | 打率 | 出塁率 | 長打率 |
|---|---|---|---|---|
| (打つ前) | 10 | .300 | .300 | .300 |
| 犠牲フライ | 10 | .300 | .273 | .300 |
| 犠牲バント | 10 | .300 | .300 | .300 |
| 凡退(外野フライ) | 11 | .273 | .273 | .273 |
ここで意外なのが、犠飛と犠打で出塁率の扱いが違うことです。
出塁率 =(安打 + 四球 + 死球)÷(打数 + 四球 + 死球 + 犠飛)
出塁率の分母には犠飛が入りますが、犠打は入りません(公認野球規則 9.21(f))。そのため犠飛を打つと、出塁率だけは凡退と同じように下がります。
長打率(塁打 ÷ 打数)は、分母の打数が増えないので変わりません。
犠牲フライになる条件
公認野球規則 9.08(d) では、犠牲フライは次の場合に記録されます。
- 無死または一死で
- 打者がフライ・ライナーを打ち
- 外野手(または外野まで回り込んだ内野手) が
- 捕球した後に走者が得点した場合
ポイントは3つです。
1. 二死では犠飛にならない。 二死でフライを捕られたら、その時点で3アウトチェンジです。得点が入る余地がありません。
2. 走者が得点しなければ犠飛にならない。 タッチアップで二塁から三塁に進んだだけ、一塁から二塁に進んだだけ、という場合は犠飛ではありません。打者はふつうのフライアウトとして打数1になります。
3. 内野フライは原則として対象外。 定位置付近の内野手が捕ったフライで走者が還っても、犠飛にはなりません。内野手が外野まで追いかけて捕った場合は対象になります。
なお、ファウルフライでも、外野手が捕ってから走者が生還すれば犠飛になります。
落球して走者が還った場合
外野手がフライを落とし、その間に三塁走者が生還したときはどうなるか。
規則では、捕っていても走者は生還できたと判断される場合に限り、犠飛を記録するとされています(9.08(d)(2))。十分な飛距離のあるフライなら犠飛、捕っていれば還れなかった浅いフライなら犠飛にはなりません。
このとき打者が一塁に生きていれば、落球した外野手には失策が記録されます。
打点は記録される
犠牲フライで走者が生還した場合、打者には打点が記録されます(公認野球規則 9.04(a)(1))。
そもそも犠飛は「走者が得点した」ことが条件なので、犠飛があれば基本的には打点1がセットになります。生還した走者には得点が1つ記録されます。
草野球で迷いやすいケース
犠飛にならなかったタッチアップを「犠牲」として扱ってしまう
三塁への進塁だけでは犠飛になりません。「チームのために進塁させたのに打率が下がるのは不公平」と感じるかもしれませんが、記録上はフライアウトです。
二死からの外野フライで「犠飛」にしてしまう
二死の場合は3アウト目なので、得点は入らず、犠飛にもなりません。
浅い外野フライの落球で還ったケース
上に書いたとおり「捕っていても還れたか」の判断が必要です。草野球では判断が割れやすいので、エラーの判定と同じく、スコアをつける人が決めるとチームで決めておくと揉めません。考え方はエラーで出塁したら打率は下がる?で整理しています。
犠飛を記録していないチームは?
打数・安打・四死球だけを記録しているチームも多いと思います。その場合でも、打率を正しく出すには、犠飛の打席を打数に入れないことが大切です。
ややこしければ「犠飛は打数に入れない(打率は下がらない)」だけ覚えておけば十分です。出塁率の分母に犠飛を入れるかどうかの差は、犠飛が年に数本なら小さなものです。
My Successでの記録
My Success では、打席結果の「アウト」のグループに「犠飛」があります。これを選ぶと、
- 打数にはカウントされない(打率は変わらない)
- 出塁率の分母に入る
- 打席数には1つ数える
という、公式の計算どおりの扱いになります。
打点は打席の結果とは別に+−ボタンで入力する形です。犠飛で1点入ったら、打点も1つ足してください。三塁への進塁だけで得点がなかった場合は「凡打」を選びます。
まとめ
- 犠牲フライは打数に入らない。打率は下がらない
- ただし出塁率の分母には入るので、出塁率は下がる(犠打は下がらない)
- 犠飛になるのは、無死・一死で外野フライを捕球後に走者が得点したとき
- タッチアップで進塁しただけなら犠飛ではなく、ふつうの凡打
- 犠飛で走者が生還すれば、打点は記録される
犠飛の扱いを正しくしておくと、打率とOPSの数字がぐっと正確になります。OPSとの関係は草野球のOPSとは?で解説しています。
参考
- 日本野球機構(NPB)「記録の計算方法」
- 日本野球機構(NPB)「公認野球規則 9.00 記録に関する規則」(PDF)