空振り三振——と思ったら、キャッチャーがボールを後ろにそらして、打者は一塁へ全力疾走。セーフ。
草野球ではたまに見る光景ですが、スコアをつける側は「これは三振?出塁?打数は?」と迷います。
結論から言えば、記録上は三振です。順に説明します。
打者の記録は「三振・打数1」
公認野球規則 9.15(a)(3) は、「捕手が第3ストライクを捕らえなかったので、打者が走者となった場合」も三振を記録すると定めています。
つまり振り逃げで一塁に生きても、打者の記録は次のとおりです。
- 三振が1つ記録される
- 打数は1つ増える
- 安打にはならない
打数に入らないのは、四球・死球・犠打・犠飛・打撃妨害などで一塁を得た場合だけです(9.02(a)(1))。振り逃げはこのどれにも当たりません。
打率も出塁率も下がる
10打数3安打の打者が振り逃げで出塁した場合、
| 打数 | 安打 | 打率 | |
|---|---|---|---|
| 振り逃げ前 | 10 | 3 | .300 |
| 振り逃げ後 | 11 | 3 | .273 |
と、ふつうの三振と同じように打率は下がります。
出塁率も同じです。出塁率の分子は「安打・四球・死球」だけなので、振り逃げでの出塁は含まれません。塁に出ているのに出塁率が下がるという点は、エラー出塁や野選と同じです。
振り逃げが成立する条件
第3ストライクを捕手が捕れなかったとき、打者が一塁へ走れるのは次のどちらかの場合です(公認野球規則 5.05(a)(2)、5.09(a)(3))。
- 一塁に走者がいない
- 一塁に走者がいても二死
無死または一死で一塁に走者がいるときは、捕手が捕れなくても打者はその時点でアウトです。一塁走者がいる場面で振り逃げを認めると、捕手がわざと捕らずに併殺を狙えてしまうため、と説明されることが多いルールです。
また、捕手がワンバウンドの投球を止めたとしても、ノーバウンドで捕っていなければ「捕らえなかった」扱いです。その場合は、捕手が打者にタッチするか一塁へ送球してアウトにします。
投手の記録:奪三振+暴投または捕逸
振り逃げが起きたとき、投手には奪三振が1つ記録されます。三振の記録は、打者と投手の両方に付くものだからです(9.15)。
さらに、なぜ打者が一塁に生きたのかによって、次のどれかがあわせて記録されます(9.13、9.12)。
| 捕れなかった理由 | 記録 |
|---|---|
| 投球がそれた・ワンバウンドで捕手が止められなかった | 三振+暴投 |
| 捕手が普通なら捕れる球をそらした | 三振+捕逸 |
| 捕手はボールを拾ったが、一塁への送球がそれた | 三振+捕手の失策(送球がよければアウトにできた場合) |
捕手がすぐにボールを拾って一塁でアウトにした場合は、ふつうの三振です。暴投も捕逸も付きません。
1イニングに4つ以上の三振もありうる
振り逃げで出塁した打者にも三振は記録されるので、1イニングで奪三振が4つ以上になることがあります。
3アウトのうちの1つを取っていない三振が混ざるため、奪三振の数が投球回のアウト数を上回るわけです。投手成績を表で管理していて「奪三振がアウト数より多い」と思ったら、振り逃げがなかったか確認してみてください。
自責点への影響
振り逃げで出た走者が得点したとき、自責点になるかどうかは暴投か捕逸かで変わります。
- 暴投による振り逃げ → 投手の責任。その走者の得点は自責点になりうる
- 捕逸による振り逃げ → 自責点を考えるときは「アウトにできる機会があった」として扱う(9.16 の注)。その走者の得点は自責点にならない
特に二死からの捕逸による振り逃げは、そこで3アウトになっていたものとして扱われるので、その後に入った点も自責点にはなりません。自責点の考え方は草野球の自責点とは?で詳しく説明しています。
草野球で迷いやすいポイント
「出塁したから三振じゃない」ではない
打者が一塁に生きても、三振は三振です。打席結果は「三振」として記録してください。
一塁走者がいたのに走ってしまった
無死・一死で一塁に走者がいれば、第3ストライクの時点で打者はアウトです。打者が一塁に走っても、記録はふつうの三振です。
My Successでの記録
My Success の打席結果には「振り逃げ」というボタンはありません。振り逃げは「三振」を選んでください。打数1・三振1として記録され、公式の扱いと同じになります。打席結果の画面にある「迷ったとき」のヘルプでも同じ案内をしています。
投手成績の奪三振は、投球回のアウト数より多く入力できます。投球回を入れると奪三振の上限は「アウト数+3」になり、これは振り逃げのぶんを見込んだものです。
まとめ
- 振り逃げで出塁しても、打者の記録は三振・打数1。打率も出塁率も下がる
- 振り逃げができるのは、一塁が空いているとき、または二死のとき
- 投手には奪三振が記録され、あわせて暴投・捕逸・失策のどれかが記録される
- 振り逃げがあると、1イニングに4つ以上の奪三振も起こりうる
- 捕逸による振り逃げの走者が還っても、自責点にはならない
振り逃げは「打者にとっては三振、チームにとってはランナー」。記録と試合展開を分けて考えると、迷わず付けられます。
参考
- 日本野球機構(NPB)「公認野球規則 9.00 記録に関する規則」(PDF)
- 日本野球機構(NPB)「記録の計算方法」