ランナー一塁。ピッチャーがセットポジションから投げた瞬間、球審が「ボーク!」。一塁ランナーは二塁へ——。
草野球でもときどき見かけるボークですが、「何がダメだったのか」「記録はどうなるのか」は意外と知られていません。この記事では、ボークの基本と記録上の扱いを整理します。
ボークとは
ボークは、塁に走者がいるときに、投手が規則に反する動作をしたときに宣告される反則です(公認野球規則 6.02(a))。
ボークの規則は、投手が走者をだますのを防ぐためにあります。投げると見せかけて牽制したり、牽制すると見せかけて投げたりすると、走者は正しくスタートを切れません。
走者がいないときはボークになりません。同じ反則投球でも、走者がいなければ「ボール」が宣告されます(6.02(b))。
ボークになる主な動作
公認野球規則 6.02(a) には13の項目が挙がっています。草野球で起きやすいものを中心に整理します。
| 動作 | よくある場面 |
|---|---|
| セットポジションで完全に止まらずに投げた | 走者を気にして急いで投げる |
| 投球動作を始めたのに投げなかった | 途中で動きを止めてしまう |
| プレートを踏んだまま、一塁や三塁へ投げるふりだけした | 牽制の「ふり」 |
| プレートを踏んだまま、塁の方向へ踏み出さずに送球した | 足を踏み出さずに牽制 |
| プレートを踏んだまま、ボールを落とした | 手が滑ってボールがこぼれる |
| 打者が構える前に投げた(クイックピッチ) | 打者の準備を待たずに投げる |
| ボールを持たずにプレートに立った | 隠し球の途中など |
| 不必要に試合を遅らせた | — |
特に草野球で多いのは、セットポジションで止まらないケースと、プレートを踏んだままボールを落とすケースです。後者は、わざとでなくてもボークになります(6.02(a)(11))。
なお、プレートを踏んだまま二塁へ投げるふりをするのはボークになりません(6.02(a)(3) の注釈)。一塁・三塁へのふりとは扱いが違います。
ボークが宣告されたら、走者はどうなる?
ボークが宣告されると、原則としてボールデッドになり、すべての走者が1つ先の塁へ進みます。
- 走者一塁 → 二塁へ
- 走者三塁 → 本塁へ(1点)
- 満塁 → 全員が1つずつ進み、三塁走者が生還(1点)
ただし、ボークの投球を打者が打って、打者が一塁に達し、ほかの走者も全員1つ以上進んだ場合は、ボークは関係なくプレイがそのまま生かされます。例えば、ボークの投球をヒットにして全走者が進んだなら、ヒットが記録に残ります。
打者の記録はどうなる?
ボークによって投球がなかったことになった場合、打者の打席はそのまま続きます。カウントも変わりません。
- 打席数・打数には何も記録されない
- 打者の打撃成績には影響しない
- 最終的な打席の結果(安打・四球・凡打など)だけが記録される
前述のとおり、ボークの投球を打ってプレイが生かされた場合は、そのプレイの結果が打者の記録になります。
打点は付かない
ボークで三塁走者が生還しても、打者に打点は付きません。
公認野球規則 9.04 が打点の原因として挙げているのは、安打・犠打・犠飛・内野のアウト・野選・押し出しです。ボークはこのどれにも当たりません。生還した走者には得点が記録されます。打点のルール全般は草野球の打点とは?で整理しています。
投手の記録と自責点
ボークは投手の記録として数えられます(9.02(c) の投手の記録項目に「ボーク」があります)。
そしてボークで入った点は、自責点になります。公認野球規則 9.16 は、ボークを暴投・四球と同じく「自責点になる要素」に挙げています。守備のミスではなく、投手自身の反則だからです。
ボークで進んだ走者が、あとでヒットで還った場合も同じく、エラーが絡まなければ自責点です。自責点の考え方は草野球の自責点とは?で、暴投との違いは暴投と捕逸の違いとは?で解説しています。
草野球で気をつけたいこと
判定するのは審判
ボークかどうかは審判が判定します。記録は審判の宣告どおりに付けてください。
大会独自の取り決めがある場合はそれに従う
公認野球規則はボークを上のように定めていますが、草野球の大会やリーグでは、審判の人数や運営の事情に合わせて独自の取り決めをしている場合があります。参加する大会に規定があるなら、そちらを優先してください。ここで紹介したのは、あくまで公認野球規則の扱いです。
セットポジションで「一度止まる」を習慣に
草野球の投手に多いボークは、走者を気にして急ぎすぎることから起こります。セットポジションでは完全に止まってから投げることを意識するだけで、かなり防げます。
My Successでの扱い
My Success には、ボークを記録する項目はありません。
打席の途中でボークがあった場合、打席結果には入力しません。その打席の最終的な結果を入力してください。打席結果の画面にある「迷ったとき」のヘルプでも、同じように案内しています。
ボークで走者が生還した場合は、スコア(イニングごとの得点)に反映し、生還した選手の得点を+−ボタンで入力します。投手の自責点を入力するときは、ボークで入った点を自責点に含めてください。
まとめ
- ボークは、走者がいるときの投手の反則動作。走者がいなければボールになる
- 代表例は、セットで止まらない、投げるふりをして投げない、プレート上でボールを落とすなど
- 宣告されると、すべての走者が1つ進む。打者の打席はそのまま続く
- 打者の成績には記録されず、打点も付かない
- 投手にはボークが記録され、ボークで入った点は自責点になる
草野球のボークは、たいていが「急ぎすぎ」から起こります。記録の扱いと一緒に、投手の人に共有しておくと役に立ちます。
参考
- 日本野球機構(NPB)「公認野球規則 9.00 記録に関する規則」(PDF)
- Major League Baseball「Official Baseball Rules 2025 Edition」(PDF・英語。公認野球規則の原典。6.02 Pitcher Illegal Action)