「今日は90分・7回制で、時間が来たら新しい回に入らない」。
草野球の試合前に、こうした説明を受けることは珍しくありません。プロ野球とは違う試合形式は、草野球の大きな特徴です。
この記事では、草野球の試合形式を「公式ルール」と「大会ごとの取り決め」に分けて整理し、その試合を記録するときの考え方をまとめます。
公式ルールでは「9回」が基本
公認野球規則では、正式な試合は9回で行うと定められています(7.01)。
天候などで途中で打ち切られた場合(コールドゲーム)も、5回を終えていれば正式な試合として成立する、という考え方が規則の基本です(詳細な条件は規則を参照してください)。
ここで大事なのは、公認野球規則は9回制を前提にしたルールだということです。7回制も、時間制限も、点差によるコールドも、公認野球規則そのものには草野球向けの形では書かれていません。
草野球でよく使われる試合形式
草野球では、次のような形式が大会・リーグ・チームごとに採用されています。どれも「その大会の取り決め」であって、全国共通のルールではありません。
| 形式 | よくある内容の例 | 決めているのは |
|---|---|---|
| 7回制 | 9回ではなく7回で試合を終える | 大会・リーグ |
| 時間制限 | 開始から○分を過ぎたら新しい回に入らない | 大会・リーグ・グラウンドの利用時間 |
| 点差コールド | ○回以降に○点差がついたら終了 | 大会・リーグ |
| タイブレーク | 同点の場合、走者を置いた状態から回を始める | 大会・リーグ |
| 抽選・じゃんけん | 同点のまま時間切れなら抽選で勝敗を決める | 大会 |
| 引き分け | 同点で終了 | 大会・リーグ・練習試合 |
「時間制限は○分」「○回で○点差ならコールド」といった具体的な数字は、大会ごとにまったく違います。参加する大会の規定を確認するのが大前提です。
練習試合なら、グラウンドの利用時間に合わせて両チームで決めることもよくあります。
記録を残すときに残しておきたいこと
試合形式が毎回違うと、同じ「1試合」でも中身が変わります。成績をあとで正しく読むために、次の情報を残しておくと安心です。
1. 実際に何回まで行ったか
7回制の試合でも、時間切れで5回までしか行わないことがあります。イニングごとのスコアを残しておけば、何回までやったかは自然に分かります。
2. どう終わったか
- 規定の回まで行った
- 時間切れ
- 点差コールド
- 降雨などで打ち切り
- タイブレークや抽選で決着
終わり方が分かると、「この試合は4回で終わったから打席が少ない」といった読み方ができます。
3. 勝敗の決まり方
同点で抽選勝ちした試合を「勝ち」として数えるのか、「引き分け」として数えるのかは、チームで決めておくと集計がぶれません。
試合形式が記録に与える影響
打席数が試合ごとに変わる
7回制・時間制の試合では、1人あたりの打席数が9回制より少なくなります。さらに、時間切れで5回までの試合もあれば、7回まで行く試合もあります。
打席数がばらつくので、打率ランキングに使う規定打席は、実際の試合形式に合わせて決める必要があります。決め方は草野球の規定打席は何打席?で解説しています。
防御率を7回換算にするか9回換算にするか
7回制の草野球では、防御率を7回換算で見るチームもあります。どちらで計算するかは、チーム内で統一してください。
大事なのは、5回で終わった試合があっても、その試合だけ換算を変えないことです。防御率の考え方は草野球の防御率は7回?9回?で詳しく解説しています。
短い試合の勝ち投手
公認野球規則では、先発投手が勝ち投手になるには、勝ったチームの守備が6回以上の試合なら5回、5回の試合なら4回を投げ終える必要があります(9.17(b))。
7回制の試合なら、先発は5回を投げ切らないと勝ち投手になれない計算です。ところが草野球では、時間切れで4回までの試合もあります。規則は5回未満で終わる試合を想定していないので、短い試合の勝敗をどう付けるかはチームで決めるしかありません。投手成績の残し方は草野球の投手成績は何を記録する?でまとめています。
タイブレークで置かれた走者
タイブレークで最初から塁に置かれた走者が得点した場合、その点を投手の自責点にするかどうかも迷うところです。
参考までに、メジャーリーグの規則では、延長戦で二塁に置かれる走者は、自責点の計算上「失策で出塁した走者」として扱うと定められています(Official Baseball Rules 7.01(b)(2)(C))。つまり、その走者が還っても自責点にはなりません。
ただしこれは、メジャーリーグの延長戦ルールに付いた規定です。草野球の大会のタイブレークは形式もさまざまなので、大会規定を確認し、規定がなければチームで決めてください。自責点の考え方は草野球の自責点とは?で解説しています。
途中で終わった試合の成績はどうする?
雨や時間の都合で途中終了した試合の個人成績を、シーズン成績に含めるかどうかも決めておきたいところです。
- 正式な試合として成立した(大会規定で成立とされた)試合 → 含める
- ノーゲーム(大会規定で試合不成立とされた)試合 → 含めない、または別に扱う
大会に出ている試合なら、その大会の成立・不成立の判断に合わせるのがいちばん分かりやすい方法です。練習試合は、チームで基準を決めておけば十分です。
My Successでの記録
My Success では、試合を作成するとスコアボードが7回分で用意されます(学童野球モードのチームは6回)。試合ごとに回を増やしたり減らしたりできるので、5回で終わった試合も、延長した試合も、実際の回数でスコアを残せます。
勝敗は、入力したスコアから自動で決まります。同点の場合は引き分けとして扱われ、抽選やじゃんけんでの勝敗を記録する機能はありません。試合をしなかった場合は、不戦勝・不戦敗として登録でき、その試合では個人成績を入力しません。
防御率は、チーム設定で7回換算・9回換算のどちらかを選べます。
まとめ
- 公認野球規則の正式な試合は9回。7回制・時間制限・コールド・タイブレークは大会ごとの取り決め
- 具体的な時間や点差は大会ごとに違う。大会規定を確認する
- 記録には、何回まで行ったかとどう終わったかを残す
- 規定打席・防御率の換算・短い試合の勝敗・タイブレーク走者の扱いは、チームで基準を決めて統一する
- 途中終了の試合は、大会の成立・不成立の判断に合わせるのが分かりやすい
試合形式がばらばらなのは草野球の宿命です。だからこそ、記録の基準をチームでそろえておくことが、成績を楽しむための土台になります。
参考
- 日本野球機構(NPB)「公認野球規則 9.00 記録に関する規則」(PDF)
- Major League Baseball「Official Baseball Rules 2025 Edition」(PDF・英語。7.01 Regulation Games)