一塁走者がスタート。キャッチャーが投げたけれどセーフ。これは誰が見ても盗塁です。
でも、スタートした球がワンバウンドして捕手がそらした場合は?大差の試合で、守備側がまったく投げなかった場合は?草野球でも、盗塁として数えていいか迷う場面は意外とあります。
この記事では、盗塁が記録される条件と、ただの進塁や盗塁死との違いを整理します。
盗塁の定義
公認野球規則 9.07 は、盗塁を次のように定めています。
走者が、安打、刺殺、失策、封殺、野手選択、捕逸、暴投、ボークによらないで、1個の塁を進んだときには、その走者に盗塁を記録する。
裏返すと、ほかに進塁の理由が付けられないときだけ盗塁になります。「次の塁に進んだ=盗塁」ではない、というのが最初のポイントです。
盗塁になる・ならないの早見表
| 場面 | 記録 |
|---|---|
| スタートを切り、捕手の送球より先に塁に達した | 盗塁 |
| スタートを切った球が暴投・捕逸になった | 盗塁(暴投・捕逸は記録しない) |
| スタートを切り、捕手の悪送球でさらに1つ先へ進んだ | 盗塁+捕手の失策 |
| 捕手がそらしたのを見てから走った | 暴投または捕逸による進塁(盗塁ではない) |
| 守備側がまったく守ろうとしなかった | 野手選択による進塁(盗塁ではない) |
| 重盗で、どちらかの走者がアウトになった | どちらの走者にも盗塁は付かない |
| 盗塁を試みてアウトになった | 盗塁死 |
以下、迷いやすいものを説明します。
スタートが先なら、暴投・捕逸でも盗塁
走者が投球の前にスタートを切っていたなら、その球が暴投や捕逸になっても、暴投・捕逸は記録せず盗塁を記録します(9.07(a))。
走者は投球と関係なく次の塁を狙っていたので、盗塁の企てが先にあった、と考えるわけです。
ただし、そらした球の間にさらに先の塁まで進んだ場合は、盗塁に加えて暴投または捕逸もあわせて記録します。
反対に、スタートを切っていない走者が、捕手がそらしたのを見て走り出した場合は、盗塁ではなく暴投または捕逸による進塁です。暴投と捕逸の区別は暴投と捕逸の違いとは?で解説しています。
捕手の悪送球があった場合
盗塁を阻止しようとした捕手の送球がそれても、走者が狙った塁で止まったなら、盗塁だけを記録し、捕手に失策は付けません(9.07(b))。
悪送球の間に走者がさらに先の塁へ進んだ場合(または他の走者が進んだ場合)は、盗塁に加えて捕手に失策を記録します。
守備側が無関心なときは盗塁にならない
大差がついた終盤、一塁走者がスタートしても、守備側が送球もせず、誰もベースカバーに入らない——。
このように守備側がまったく守ろうとしなかった場合は、盗塁を記録せず、野手選択による進塁とします(9.07(g))。
判断にあたっては、イニングや点差、投手が牽制をしていたか、野手がベースに入る動きをしたか、などを総合的に見ます。一方、走者一・三塁で、三塁走者の本塁突入を警戒して二塁へ投げなかったような場合は、守備側に正当な作戦上の理由があるので、通常は盗塁を記録します。
草野球では、試合の流れで守備側が走者を放っておく場面も出てきます。「守る動きが何もなければ盗塁にしない」とチームで決めておくと判断がぶれません。
重盗で1人がアウトになったら
一・三塁からのダブルスチールで、三塁走者が本塁でアウト、一塁走者は二塁へ進んだ——。
この場合、どちらの走者にも盗塁は記録されません(9.07(d))。二塁に進んだ走者も含めて、です。
盗塁死(盗塁刺)の付け方
盗塁を試みてアウトになったら、その走者に盗塁死を記録します(9.07(h))。公式の用語では「盗塁刺」です。
次の場合も盗塁死になります。
- 牽制で塁を飛び出し、次の塁へ向かってアウトになった
- 盗塁を試みて塁に達したが、オーバースライドしてタッチアウトになった
- 野手のエラーがなければアウトになっていた
一方、次の場合は盗塁死になりません。
- 牽制で飛び出し、元の塁へ戻ろうとしてアウトになった
- 捕手がそらしたのを見て走り出してアウトになった
盗塁死まで記録すると、盗塁成功率=盗塁 ÷(盗塁 + 盗塁死)が出せます。盗塁の数だけでは、どれだけアウトを献上しているかが分かりません。本気で走塁を評価したいなら、盗塁死もあわせて残しておくと役立ちます。
盗塁は得点・打点とどう関係する?
盗塁は走者に記録されるもので、打者の成績には影響しません。
本盗(ホームスチール)で生還した場合は、生還した走者に盗塁と得点が付きます。打席の打者には打点は付きません。得点と打点の違いは草野球の得点とは?で整理しています。
My Successでの記録
My Success では、盗塁は打点・得点と同じく、選手ごとに+−ボタンで入力します。入力画面のヘルプでは「盗塁して次の塁へ進むことに成功した回数」と説明しています。
盗塁死を記録する項目はありません。盗塁成功率まで管理したい場合は、別に控えておく必要があります。
盗塁数のチーム内ランキングはPROプランで見られます。選手の能力値のひとつ「走力」は、盗塁の数を主な材料にして決まります。
まとめ
- 盗塁は、安打・エラー・野選・暴投・捕逸・ボークなどによらず、走塁だけで1つ先の塁を奪ったとき
- 投球前にスタートしていれば、暴投・捕逸になっても盗塁
- 捕手がそらしてから走った進塁は、暴投・捕逸による進塁
- 守備側が無関心なら盗塁にしない。重盗で1人でもアウトなら誰にも盗塁は付かない
- 盗塁を試みてアウトなら盗塁死。成功率を出すなら盗塁死も記録する
「その進塁に、盗塁以外の理由が付けられるか」を考えると、ほとんどの場面は判断できます。
参考
- 日本野球機構(NPB)「公認野球規則 9.00 記録に関する規則」(PDF)