インコースの球が肘に当たった。痛いけれど一塁へ——。死球の記録そのものは簡単です。
迷うのは、「振りにいって当たった」「よけなかった」「ストライクゾーンで当たった」ような場面です。この記事では、死球の記録と、死球にならないケースを整理します。
死球の記録:打数に入らない
| 成績 | 死球の扱い |
|---|---|
| 打席 | 1つ数える |
| 打数 | 入らない(9.02(a)(1)) |
| 打率 | 変わらない |
| 出塁率 | 上がる(分子にも分母にも入る) |
| 打点 | 満塁なら1(押し出し) |
| 投手の記録 | 与死球 |
打者の記録としては、四球とほぼ同じ扱いです。違うのは、四球ではなく「死球」として別に数えることだけです。四球の記録の詳細は四球は打数に入る?で解説しています。
投手にとっては、死球で出した走者の得点は、エラーが絡まなければ自責点になります。守備のミスではなく、投手が出した走者だからです。
死球になる条件
公認野球規則 5.05(b)(2) は、打者に一塁が与えられる場合として「打者が打とうとしなかった投球に触れた場合」を挙げています。
つまり死球になるのは、
- 打者が打ちにいっていない投球が
- 打者の体やユニフォームに触れた
ときです。ワンバウンドした投球が当たった場合や、ユニフォームをかすっただけの場合も、条件を満たせば死球になります。
一方、ネックレスやブレスレットなどの装身具だけに当たった場合は、打者に触れたとはみなされません(5.05(b)(2) 原注)。
死球にならない3つのケース
1. スイングして当たった → ストライク
打ちにいった投球が体に当たった場合は、死球ではなくストライクです。バントをしようとして当たった場合も同じです。
「打者が打とうとしなかった投球」という条件を満たさないためです。2ストライクからスイングして当たれば、三振になります。
2. ストライクゾーンで当たった → ストライク
ノーバウンドの投球がストライクゾーンの中で打者に触れた場合は、打者がよけようとしたかどうかに関係なくストライクです。
体がストライクゾーンにかぶさるように構えていて当たった、というような場面が該当します。
3. よけようとしなかった → ボール
ストライクゾーンの外の投球でも、打者がよけようとせずに当たった場合は、死球ではなくボールです。
わざと当たりにいった場合も、もちろん死球にはなりません。ただし、投球がよけられないものだったと球審が判断した場合は、死球が認められます。
よけようとしたかどうかは、球審の判断で決まります。
迷いやすいケースの早見表
| 場面 | 判定 | 打者の記録 |
|---|---|---|
| ゾーン外の球をよけたが当たった | 死球 | 打数に入らない |
| ワンバウンドした球が足に当たった | 死球 | 打数に入らない |
| ユニフォームにかすった | 死球 | 打数に入らない |
| スイングした球が手に当たった | ストライク | 打席継続(2ストライクなら三振) |
| バントしようとして当たった | ストライク | 打席継続(2ストライクなら三振) |
| ストライクゾーンで当たった | ストライク | 打席継続(2ストライクなら三振) |
| よけずにゾーン外の球に当たった | ボール | 打席継続(4ボール目なら四球) |
| 装身具にだけ当たった | 当たっていない扱い | 通常の判定 |
「ボール」と判定された投球が4球目なら、記録は死球ではなく四球になります。
草野球で気をつけたいこと
判定は球審、記録はその判定どおり
死球かどうかは、記録員ではなく球審が決めます。ベンチから見て「振っていた」と思っても、球審が死球を宣告したなら、記録は死球です。
軟式球でも痛いものは痛い
草野球の軟式球でも、当たりどころによってはけがにつながります。死球を受けた選手の状態は必ず確認してください。
My Successでの記録
My Success の打席結果には、「出塁」のグループに「死球」があります。選ぶと、打数には入らず、出塁率の分子・分母に入る公式どおりの扱いで計算されます。
スイングや判定でストライクになった場合は、その打席の最終的な結果(三振・凡打など)を選んでください。
なお、投手成績には与死球を入力する項目はありません(入力できるのは投球回・自責点・奪三振・与四球です)。PROプランでは、打者の死球数のチーム内ランキングを見られます。
まとめ
- 死球は打数に入らない。打率は変わらず、出塁率は上がる
- 死球になるのは、打ちにいっていない投球が体・ユニフォームに触れたとき
- スイング(バント)して当たった、ストライクゾーンで当たった → ストライク
- よけようとしなかった(ゾーン外) → ボール
- 判定は球審。記録は判定どおりに付ける
「当たったのに死球じゃない」ケースは、ルールを知っていれば納得できます。記録は球審の判定に合わせて、迷わず付けてください。
参考
- 日本野球機構(NPB)「公認野球規則 9.00 記録に関する規則」(PDF)
- 石川県野球協会「2020年度 野球規則改正の解説」(PDF・5.05(b)(2)【原注】の追加)